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自慢の味 朝丘 大介
いくつもの屋台が肩を並べる、裏通り沿いにある古びた一軒のラーメン屋。
口ひげをたくわえたその店主は、自信たっぷりに言った。
「うちのラーメンは死ぬほどウマいから、覚悟して食えよな!」
「……はあ」
店主のでかい態度にどぎまぎしながら、僕はまずスープをひとすくい。口に運んだ。
続いて、麺を箸で数本つまみあげ、つるつるとすする。
店主は、鼻の下を指でこすりながら、得意顔で、
「へへっ。どーだい味は?」
……覚悟して食べたけれど、フツーの味だったよ。

朝丘先生
地方に住む友人の実話です。
©2023 Daisuke Asaoka