#44:出版放浪記⑦ いよいよ大詰め【朝丘 大介】

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出版放浪記⑦ いよいよ大詰め

 

『オレンジ病棟』を書くにあたり、育毛に関する様ざまな文献を読みあさった。

 

 

小難しい育毛理論を日常会話に変換していくのは、けっこう骨な作業だった。

 

 

実際にみかん酒をつくり、生えぎわに塗ってみたりもした。

 

 

ある本に「シャンプーはできるだけしたほうがよい」と書いてあったかと思うと、別の本には「シャンプーはあまりしないほうがよい」などと記されていたりするので、読み進めるうちに正解はないような気がしてきた。

 

 

そこで、キャラクターごとに独自の育毛法を持たせていくことにした。

 

 

また、ハゲかたにもいろんなタイプがあることがわかった。

 

 

M字型ハゲ、スカスカ型ハゲ、頭頂部を左右の髪でおおったO型ハゲだ。

 

 

比較的良くなると言われているタイプには、わりと忠実に髪を回復させた。

 

 

もはや回復は難しいだろうという者には〈反則技〉を使わせた。

 

 

さて、問題は、主人公クルミの育毛の行方をどうするかだ。

 

 

これについては、本当に頭を悩ませた。

 

 

〝生えた〟〝生えなかった〟で物語を終えてしまっては、話が浅くなり、それまで積み上げてきたものが台無しになる気がした。

 

 

そこで〝生える〟〝生えない〟という概念をアウフヘーベンできないか考えることにした。第三の選択肢である。

 

 

アウフヘーベンというのは、奇譚小説の名手である故中島らもさんがよく好んで使われていたコンセプトだ。

 

 

簡単に書けば、AとBというふたつの相反する考えから、それよりもう一段上のCという考えを導きだすことである。

 

 

ありとあらゆる育毛を試みた結果、クルミが辿りついた境地。

 

 

それがいかなるところであるのか、あえてここには書かない。

 

 

人間にとって、時にはすごく必要な要素だったりする。

 

 

 

担当編集者さんとの間で意見の相違もあった。

 

 

担当編集者さんは、

 

 

「主人公は、車で自分を轢いた相手が憎いと思うのでは?」

 

 

という意見であり、そこを僕に書かせたかった。

 

 

だが、現実の加害者は事故直後に来院したようだが、見目様をまったく覚えていない。

 

 

僕は横浜に住んでおり、加害者は北海道の人なので、事故後一カ月で旭川から地元の病院に転院して、顔を合わせていない。

 

 

ネットで加害者の書きこみでも目にしたら、頭のひとつでもぶん殴ってやろうかという気にもなるかもしれないが、怒りをぶつけようにも、ぶつける相手の姿をまったく想起できないのだ。

 

 

これがドラマだったら、「加害者が憎い」となるのだろうが、そうなるのは、加害者の姿を想起できることが前提ではないかと思う。

 

 

僕の場合、加害者は顔も声も性格もわからない無形の存在なので、相手に怒りをぶつけることができず、やり場のない怒りのベクトルがそのまま自分の内側へ向いてしまう結果となった。

 

 

僕は部屋の電気を消し、一晩まっ暗な部屋で仰向けになりながら当時の携帯に自分の考えを書いた。

 

 

リラックスした状態で書いたほうが、自然体の文章が書けるという想いがあった。

 

 

書いては消し、書いては消し、なんとか完成させ、翌朝、担当編集者さんに送信した。

 

 

僕が出した答えは、担当編集者さんの思惑とは別のものだったが、納得してくださったのだろう。

 

 

返ってきたメールは、

 

 

「クルミは魅力的なキャラクターになりそうですね」

 

 

というものだった。

 

 

 

 

僕は交通事故で実際に障がいを負ったが、『オレンジ病棟』の中で、主人公クルミが最終的な脳の検査結果の説明を受けるシーンは、実際に医師のコメントを録したテープを、ほぼそのまま使用した。

 

 

SPECT検査に関しては、明白に色で描出されるので受け容れることができた。

 

 

だが、MRIの画像。脳梁(のうりょう)のあたりに発見された軸索損傷については、原稿を書いている時点では、とても曖昧に感じられた。

 

 

繊維の障がいというのは、写真には出ない。

 

 

なので、それを栄養とする周りの血管がむくんでいることから判断されるのだ。

 

 

軸索損傷と血管のむくみの相互関係に通じてないと、ノンプロにはチンプンカンプンである。

 

 

だが、本を出版したあと、損傷部がすべて吸収され、その結果、医師の解説つきであれば、脳室の拡大と脳の萎縮が素人目に見てもわかるようになった。

 

 

じつをいうと『オレンジ病棟』を書いているとき、そして、書き終わってからもしばらくは、自分が高次脳機能障害であるのか、確信は持てなかった。

 

 

心の中で、もしかしたら自分は統合失調症なのではないか、という疑念があったのだ。

 

 

健忘。注意の障がい。集中力の障がい。極端に疲れやすい脳。そして、気分の落ちこみ。

 

 

小説の資料をチェックしている段階で、そういった症状は統合失調症にもみられることをネットで知ったからだ。

 

 

小説では、なんとかそういった部分を覆い隠そうとしながら書いたところがある。

 

 

断っておくが、僕は統合失調症をどうこう言うつもりはない。

 

 

いまや100人にひとりはなる病(やまい)だ。

 

 

ただ、自分の場合、部分的に高次脳機能障害がテーマである本を出しておいて、間違っていたりしたら、きまりが悪いと思ったのだ。

 

 

ところで画像所見での脳の萎縮は、統合失調症にも見られるらしい。

 

 

そこらへんのことについて、医師に尋ねてみた。

 

 

以下、医師の説明を録音したテープより。(医師の確認と了承はとってあります)

 

 

「統合失調症は内因性の精神失調といって、脳の機能の目に見える障がいはない。

 

 

朝丘さんは明らかに損傷が目に見えてある。脳にダメージが与えられたことは

 

 

確かなので、科学的に裏付ける証拠があるので、こういう場合、僕たちは

 

 

機能性(内因性)の病名という線はない。見た目上はなんともないよ、って

 

 

いうのが機能性の診断をつける大前提。朝丘さんはダメージが明らかにあるので、

 

 

そういった病名は絶対につかない。統合失調症の場合も脳の病気だし、

 

 

最終的には脳の萎縮がくると言われているけど、それは認知症だとか脳挫傷後

 

 

とかに縮むのと比べると、すごく地味。だから、肉眼では拾えない。細かく

 

 

統計とかにかけると、確かに縮んでいるかもね、っていうレベル。朝丘さんの

 

 

場合とはまったく違う。脳の障害的に見て類似点はあるけれども、診断の時点

 

 

では明確な差がある。それはまあ、僕だけの意見ではなく、医局全体の

 

 

カンファレンスでみんなで相談して診断決めてますから、僕らは自信を持って、

 

 

この診断を言い続けます」

 

 

上記のような説明を受けても、気が晴れるといったことはない。

 

 

ぱっと見でわからないので、人から理解されづらいもどかしさを感じることがあるからだろう。

 

 

理解されようなんて、考えないほうがよいのかもしれない。

 

 

ところで、ストーリーの流れが悪くなるので『オレンジ病棟』の中には書いていないが、医大の研究室みたいなところでNIRS(近赤外光脳計測装置)という最先端の機械を使った脳検査も受けた。

 

 

これは頭にヘルメット状のセンサーを装着された状態で医師に質問され、隣部屋にいる検査員が、僕が質問に答えるときの脳の反応をモニターで見るというものだ。

 

 

赤外線で脳の各部分の血流変化が識別できるらしい。

 

 

検査の結果、僕の脳の反応は、明らかに前頭葉障害のパターンなのだそうだ。

 

 

僕の障がいは脳の海馬はやられていないので、純粋な記憶障害ではないのだけれど、注意の障がいや集中力の障がいがメインで、「記憶の植えつけ」が困難らしかった。

 

 

交通事故から20年経つので、執筆、料理、両親の介護でいまは良くなってきたが、当時は覚えていないことが多い中で、

 

 

(ん? いまの憶えてるじゃん)

 

 

と心の中で、自分への突っ込みもあった。

 

 

結局、そこらへんの中途半端さが、執筆中、障がいを完全には受け容れていなかった理由の根底にあったような気がする。

 

 

ちなみに当時飼っていた愛犬にエサをやったかどうか忘れてしまったときは、皿にドッグフードを盛っておいた。

 

 

愛犬は、皿に入っているすべてのドッグフードを食べていた。

 

 

つまり一度に二回分のエサを与えていたかもしれないのだ。

 

 

愛犬はぶくぶくに肥っていたが、肥るべくして肥ったのである。

 

 

交通事故から二十年。現在僕は両親の介護を終え、B型継続就労支援事業所に勤めているが、ようやく仕事に慣れ、午前中だけでなく、午後も仕事ができるようになった。

 

 

脳の回復は十年単位で良くしていくしかない。

 

 

©2024 Daisuke Asaoka

 

 

 

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