#57:タモツのマル秘計画 後編【朝丘 大介】

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タモツのマル秘計画 後編

 

病院特有の消毒液の匂いがこもっている廊下で、まわりに人がいないことを確認すると、タモツとてっちゃんは、野口くんの病室に入った。野口くんはベッドでゲームチャンピオンをしていた。

 

 

 

「野口くん」

 

 

 

「なんだ、きみたちか」

 

 

 

「元気?」

 

 

 

「元気だけど、なにか用?」

 

 

 

「いや。用ってほどでもないんだけどさ」

 

 

 

「用がないなら、出ていってもらえないかな。ぼくは忙しいんだ」

 

 

 

タモツはもじもじと尻ごみした。完全犯罪をするには勇気がいるのだ。

 

 

 

てっちゃんも、そわそわしている。

 

 

 

(父さんをばかにされたんだ。やるしかない)

 

 

 

タモツはごくんと唾を呑みこむと、突然、びっくりした顔で、

 

 

 

「チョモランマ!」

 

 

 

あたまの上で三角形をつくった。

 

 

 

「チョモランマ!」は、小中学生のあいだで人気のある、お笑い芸人・ウンチマンの一発芸だ。休み時間にタモツが教室でこれをやると、いつも大きな笑いがおきた。

 

 

 

だが、野口くんは無反応だった。

 

 

 

「ちくしょうっ!」

 

 

 

てっちゃんがパジャマのズボンに手をかけた。

 

 

 

「よせ、てっちゃん!」

 

 

 

タモツが、てっちゃんをとめた。

 

 

 

だが、てっちゃんはズボンとパンツを一緒に脱いでしまった。ちんちんが丸だしだ。

 

 

 

てっちゃんは、ちんちんをふりながら、

 

 

 

「カフェオーレ!」

 

 

 

とさけんだ。

 

 

 

裸でむずかしいことを言えば、笑いがとれると考えたみたいだ。

 

 

 

だが、野口くんはやはり無反応だ。ゲームばかりして、テレビでお笑い番組を見ないのかもしれない。

 

 

 

しかし、ここで引き下がるわけにはいかない。

 

 

 

タモツとてっちゃんは一生けんめいギャグをやった。野口くんはにこりともしない。

 

 

 

それどころか、軽蔑のまなざしでふたりを見ている。

 

 

 

タモツは焦った。自分が本当に負けぐみになったような気がした。病室内を、気まずい空気がおおう。 

 

 

 

そのときだ。

 

 

 

「うぎゃあああぁあ! 虫がついた!」

 

 

 

てっちゃんがさけんだ。

 

 

 

見ると、一匹のクモがてっちゃんの背中についていた。

 

 

 

「あっ、クモだ!」

 

 

 

てっちゃんの背中を指さし、野口くんがさけんだ。

 

 

 

「タモツくん! クモとって! とって!」

 

 

 

てっちゃんは半泣きになりながら、クモをふり払おうとする。

 

 

 

「やめろー、クモ! あっちへいけ!」

 

 

 

裸のまま、そこらじゅうをグルグルと走りまわるてっちゃん。

 

 

 

野口くんが吹きだした。

 

 

 

「あっはっはっはっ! ヘンなの、あっはっはっはっ!」

 

 

 

(そうか。野口くんはこういうのに弱いのか)

 

 

 

タモツは急いで裸になった。するどい目つきで渋い人の顔をしながら、野球のピッチャーのものまねをする。

 

 

 

「あっはっはっはっ!」

 

 

 

野口くんがまた吹いた。

 

 

 

そして、おなかの右下をおさえた。

 

 

 

(やった!)

 

 

 

タモツはうれしさを隠せなかった。てっちゃんも満面の笑顔だ。

 

 

 

ふたりは丸裸のまま、組体操をしたり、総理大臣のものまねをした。

 

 

 

「あっはっはっはっ! おなかが痛い。あっはっはっはっ! ちょっと、やめて。もうやめて。あっはっはっはっ!」

 

 

 

おなかの右下をおさえながら、笑いころげる野口くん。

 

 

 

いまこそ野ぐそを殺すチャンスだ、とタモツは思った。

 

 

 

そう。タモツの考えた完全犯罪とは、野口くんを笑わせて、盲腸の手術痕をひらかせるというものだった。

 

 

 

看護師さんの話では、盲腸の手術後は、笑うとおなかが痛くなるらしい。

 

 

 

笑って手術痕がひらけば、剣やピストルを使わなくても、おなかから血がでて、野口くんを殺せる。これなら証拠は残らないから、殺してもぼくとてっちゃんが犯人だとわからない。そう考えたのだ。

 

 

 

実際、お笑い攻撃は、タモツが思っていた以上の効き目があった。

 

 

 

野口くんはおなかの右下をおさえながら、

 

 

 

「いたい。いたいよぉ~」

 

 

 

目から大粒の涙をこぼしはじめた。

 

 

 

「どうしよう。タモツくん、どうしよう」

 

 

 

てっちゃんがおろおろとタモツの顔を見た。

 

 

 

「野口くん、死んじゃうよ」

 

 

 

そう言われると、タモツも急に心配になった。

 

 

 

(憎いやつだからといって、人を殺していいのか!? 人を殺すことは、ワルモノのすることじゃないのか!?)

 

 

 

タモツのあたまに、小学校のときに担任だった野中先生の温顔が浮かんだ。

 

 

 

「大丈夫かい?」 

 

 

 

ふるちんのまま、真顔で近寄るタモツを見て、野口くんがまた吹きだした。

 

 

 

「あっはっはっはっ! やめろ! もうやめろ! あっはっはっはっ!」

 

 

 

苦しそうに、おなかの右下をおさえる。 

 

 

 

そのとき、病室のドアがひらいた。

 

 

 

「あら、きみたち。そんな格好で何してるの」

 

 

 

看護師さんだった。野口くんのお母さんも一緒だ。

 

 

 

女の人にちんちんを見られ、タモツとてっちゃんは気まずくなった。

 

 

 

しかられる。ふたりとも、そう思った。

 

 

 

「ごめんなさい」

 

 

 

タモツとてっちゃんは、ふるちんのまま謝った。看護師さんと野口くんのお母さんは、にこにこしている。タモツとてっちゃんは、急いで下着とパジャマを身につけた。

 

 

 

それから背広を着た男の人が、看護師さんの後ろから現われた。

 

 

 

きゃしゃでメガネをかけていて、どことなく野口くんに似ている。

 

 

 

「お父さん!」

 

 

 

野口くんがさけんだ。

 

 

 

「いい子にしてたかい」

 

 

 

「うん」

 

 

 

ベッドに歩みよるお父さんに、野口くんが抱きついた。再会の涙をながす野口くんのあたまを撫でながら、野口くんのお父さんは、タモツとてっちゃんに落ちついた声で言った。

 

 

 

「うちのヒデヨと遊んでくれて、ありがとう」

 

 

 

それから野口くんに向かって、

 

 

 

「ヒデヨもゲームばかりしていないで、みんなと遊びなさい」

 

 

 

野口くんはお父さんの胸に顔をうずめたまま、黙ってうなずいた。

 

 

 

野口くんのお母さんが、タモツとてっちゃんに、ヒデヨのお友だちになってあげてね、とチョコレートをくれた。

 

 

 

それからタモツとてっちゃんは、看護師さんと一緒に、野口くんの家族を残して病室を出た。

 

 

 

廊下へ出ると、看護師さんが言った。

 

 

 

「野口くんはお父さんが外国でお仕事をしていて、いつもは家にいないから淋しいのよ。それでお父さんに買ってもらったゲームばかりしているの」

 

 

 

(……そういうことだったのか)

 

 

 

タモツは野口くんを許すことにした。

 

 

 

てっちゃんが鼻水をずずーっとすすりながら、看護師さんにチョコレートを見せた。

 

 

 

「いま、食べてもいい?」

 

 

 

看護師さんは、ちょっとだけならいいよ、と言った。

 

 

 

タモツとてっちゃんは、看護師さんと、こっそりチョコレートを食べた。

 

 

 

©2024 Daisuke Asaoka

 

 

 

 

 

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