#45:出版放浪記⑧ 本の表紙ができるまで【朝丘 大介】

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出版放浪記⑧ 本の表紙ができるまで

 

編集者さんとのゲラのやりとりが進むなか、『オレンジ病棟』の表紙のイラストレーターさがしは、かなり難航した。

 

 

編集者の意向で漫画チックなテイストのイラストレーターさんに仮決定していたのだが、

 

 

「漫画っぽい絵はやだ!」

 

 

と僕が駄々をこねたからだ。

 

 

べつに漫画っぽい絵を差別するわけではない。

 

 

ただ、『オレンジ病棟』は弱者に向けて書かれた小説だ。

 

 

そのなかには当然老齢の人たちも含まれるわけだが、漫画チックな絵にしてしまうと、そういった人たちが手に取らないのではないかという不安があった。

 

 

自分の中では、入院している人が心休めに購入する本にもしたかった。

 

 

病院の売店に置いてもらうことは実現しなかったけれど。

 

 

担当編集者さんは話のわかる人で、

 

 

「流れ作業のように本を作るつもりはまったくなく、朝丘さんが嫌いとおっしゃるものを無理強いして進行することはありませんので、その点はご安心ください」

 

 

と、僕の意見を尊重してくれた。

 

 

僕は、こんな表紙にしてほしい、と自分で表紙のイメージ画を描いて持っていった。

 

 

病室のベッドにいる主人公のクルミが、オレンジ色の液体(みかん酒の容器)を通して、向かいのベッドのミッチーという同室患者を見ている、という、クルミ目線のものだった。

 

 

だが、表紙なのだから、描かれているのはミッチーでなく、主人公のクルミでないといけない、との理由から却下された。

 

 

僕と担当編集者さんは、どういった表紙でいくかを話し合った。

 

 

つらさを前面にだすのか、病院を前面にだすのか。あるいは楽しさを前面にだすのか。

 

 

エンターテイメントのカバーでいくということだけは決まっていたが、担当編集者さんは以下のような考えを持たれていた。

 

 

・メッセージ性や切なさは、ちょっぴり匂うくらいに止めておきたい。

 

 

・タイトルに〈病棟〉と入っているので、重たいものを前面にだすのはやめたい。

 

 

・おとなしい表紙ではないし、ファンキーなものにしたい。

 

 

だが、〈ファンキー〉という言葉に馴染みのなかった当時の僕は、ニューヨークの地下鉄やハーレム地区の壁の落書きみたいなものしか想像できなかった。

 

 

打ちあわせで、担当編集者さんから様ざまな小説の表紙を見せてもらいながら、

 

 

「この絵はどうですか?」

 

 

「このタイトルのロゴはどうですか?」

 

 

と尋ねられた。

 

 

僕は提示されたカバーを見ながら、「画風は好きですが、ここに描いてあるこの人物が好きでないです」などと動物的に答えた。

 

 

いろいろ話し合った結果、

 

 

・漫画調のものは避ける

 

 

・色はおさえて

 

 

・遠近感のある絵はだめ

 

 

・どたばた感はださない

 

 

・見ていて疲れないもの

 

 

という方向で考えていくことになった。

 

 

担当編集者さんが心当たりのあるイラストレーターさんにあたってくださっている間、自分でも書店へ足を運び、気になった表紙のタイトルをメモして編集者さんにメールで知らせたりした。

 

 

そのころ、僕は映画『百万円と苦虫女』のチラシを気に入っていて、いつもクリアファイルに入れて持ち歩いていた。

 

 

下の画像がそうだ。

 

 

僕は担当編集者さんの前でチラシをだし、

 

 

「表紙はこのチラシのようにポップだけれど地味なものが理想です」

 

 

と意見を述べた。

 

 

数週間後、打ち合わせで、あるイラストレーターさんの絵のサンプルを見せていただいた。

 

 

丹下京子さんというイラストレーターさんの絵だった。

 

 

プロのイラストレーターさんに向かってこういうのも偉そうだが、丹下さんの絵は、時代に劣化されない画風、幅広い年齢層に楽しんでもらえるハイセンスなものに感じられた。

 

 

僕はふたこと返事でOKした。

 

 

それから数週間後、丹下さんが描かれた五種類のラフ案が、担当編集者さんから送られてきた。

 

 

一枚目

病棟の中の様子が、ストーリーに沿って細かく描かれたもの。

 

 

二枚目

病棟の屋上から階段を見下ろす主人公。看護師さんや入院仲間が階段をのぼってくる。病棟の窓には様々なエピソードが描かれている。

 

 

三枚目

みかん酒の容器の上で、主人公が頭をかいている。主人公のおでこには芽が生えている。

 

 

四枚目

しょんぼりと肩をおとした主人公が、オレンジ色の雨に打たれながら、M字型にハゲた地面の上に立っている。

 

 

五枚目

巨大なみかん酒のスプレーの中をのぞきこむ主人公。容器の中には物語の様ざまなエピソードが詰まっている。

 

 

僕は迷うことなしに、一枚目のラフ案でお願いすることにした。

 

 

担当編集者さんによると、丹下さんは「主人公クルミが事故に遭って転院し、迷路にいるようなところを表現したい」とおっしゃっていたそうだ。

 

 

「朝丘さんにエールをおくるつもりで、一生懸命描こうと思います」

 

 

というメッセージもいただいた。

 

 

僕のほうからも〈赤い髪の看護師〉と〈登場人物が愛の告白をするシーン〉を描いてほしい、と丹下さんに伝えていただいた。

 

 

「ゲラをめちゃくちゃ読み込んでくださっていて、やさしくて、ユーモラスでほんの少しの毒もある」

 

 

表紙をどうするかで担当編集者さんとの間に波風が立ちそうになったりもしたが、丹下さんのイラストを見て、担当編集者さんも喜んでくださったので、自分の意見を正直にぶつけてよかった。雨降って地固まる、というやつだ。

 

 

紆余曲折の末、イラストレーターが丹下京子さんに決まり、丹下さんのイラストができあがったあと、デザイナ―さんが装丁を担当してくださることになった。

 

 

正直、装丁といっても、はじめはどんな仕事なのかピンとこなかった。

 

 

担当編集者さんに尋ねると、

 

 

「素材であるイラストを最大限に活かし、きれいにまとめていきましょうという仕事で、使う紙によっても本の印象は変わるので、どういう紙を使ったほうがいいかなどを考えるのも、デザイナーさんの仕事」

 

 

とていねいに解説してくれた。

 

 

ちなみに担当編集者さんは、オレンジの箔でばーんと『オレンジ病棟』というタイトルをだすことを考えられていた。

 

 

それからしばらくして、装丁が仕上がったので見てほしい、と担当編集者さんから連絡がはいった。

 

 

最初に届いたのは、トランプのカードを並べたような字体で『オレンジ病棟』という字を作り上げたものだった。なんともテクノチックで、著者名の字体も冴えわたっていた。

 

 

丹下さんのイラストに、イエローのカラーリングがなされ、オレンジ色の線画になっていた。

 

 

続いて三パターンの表紙のカバーが送られてきた。

 

 

一つ目

太い油性マジックで粗雑に書いたタイトル文字。

 

 

当時流行っていた『ホームレス中学生』という本の表紙が好きだと話していたので、その本のように製作してくださったのだ。

 

 

二つ目

『オレンジ病棟』というタイトル文字に、みかんのロゴが描かれたもの。温かみのある文字だ。

 

 

三つ目

ブルー。グリーン。ブラウン。ホワイト。レッド。そしてオレンジ。様ざまなカラーリングが施された表紙。

 

 

何人かの友人にメールで画像を送り、どの装丁がよいか意見を求めたところ、二つ目がいいという声が多数だった。

 

 

最終的に決定したのは、さらに送られてきた装丁のものだった。

 

 

見当識障害を表しているのか、文字の大きさが不均一で、よく見ると、文字のところどころがハゲているものだった。

 

 

同じデザインで、光沢のある紙を使用したカバーと、つやなしの紙を使用したカバーだったが、最終的には、つやなしの紙にタイトルは箔で、帯は光沢の紙が使用された。

 

 

表紙をしっかり描きあげたイラストレーターさんに対しても思ったことだが、素材を様ざまな角度から調理し、期日までにきっちりと仕上げてきた装丁さんに、プロの凄みを垣間見た気がした。

 

 

©2024 Daisuke Asaoka

 

 

 

 

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