出版放浪記⑩ 感想をもらう
本を上梓していると、あたたかな感想を書いてもらえると同時に、心ない感想を書かれてしまうことがある。
作品を世に出したことのある人間なら、一度は気にすることだ。
かつて漫画教室の先生が僕にくれたアドバイスは、
「編集者だって人間だから、面白い、と言う人もいれば、つまらない、と言う人もいる。 できるだけたくさんの出版社をまわりなさい」
とのことだった。
実際に持ちこみをして、その通りだった。
また故中島らもさんが、
「本の感想ほど、個人の主観に左右されるものはない」
とおっしゃっていたので、性格が合わない人間の意見を、著者が気にしても仕方がないことなのかもしれないと思う。
僕はかつて自分の著書『オレンジ病棟』にこんなことを書いたことがある。
「恋愛経験のない人に、恋愛の楽しさの実のところはわかりません。
同じように障がいのない人に障がいを負って生きる難しさの実のところはわからないと思います。
想像できてもわからないから、好意から出た言葉でも傷つくことはありますよね」
『オレンジ病棟』の担当編集者はこう言っていた。
似たような経験がある読者であれば七〇パーセントの共感ができても、似たような経験がないと二〇パーセントしか共感が持てなかったりする、と。
これは映画にも言えることだ。
だから、どんな感想を持たれようが、本は読者のものだ。
心無いコメントがついたときも、〈この人とは感性が違うんだ〉と割りきっている。
その点、身内は温かかった。
それまで家庭で会話がなかった父、母が「これ、面白いねえ」と感想を言うようになり、以降、何か書くたびに意見をもらった。
父と母は度々書店を覗きに行っては、
「大介の本、あったよ」
などと言った。
親馬鹿かもしれないが、特にそれまで会話がなく、〈何を考えているかわからない〉と思われていた父と〈介護を通じての和解もあったが〉僕の本を媒体として仲良くなり、その後亡くなるまで、僕が新作を書くたびに感想を聞かせてくれるようになった。
生きているうちに心のやりとりができて本当に良かった。
様々な感想をいただいた。出版して半年ほど経ってから、ネット上にレビューが散見されるようになった。
どういうわけか現在は検索しても表示されなくなったけれど、当時は十以上のブログに自著の感想が書かれていた。
どんなに小さな感想でも、すべて印刷しておいて正解だった。
中には、「高次脳機能障害の朝丘大介さんが本を出しました」というNPOの書きこみや、障がい者である僕を同情する声があったが、はじめのうちは僕は高次脳機能障害であることを隠し、「障がいは軽いほうなので、あれはデフォルメですよ」と言っていた。
当時の僕は、障がいを持って生きることに対し、「美しい」「えらい」という反応の仕方にはどこか偽善ぽさを感じていた。
だから「家族で応援してます」と書いてくださった方に対し、
「いや~、フィクションですよ」
などと答えていた。
事故や障がい、入院の記述に関して、フィクションはなかったが。
頑なになるあまり、〈同情されている〉〈見下されている〉と 受けとってしまったのだ。
でも、 それが相手の好意を無にしてしまったわけなので、とても反省している。
ネット上でただ覗いているだけの人から、
「なーんだ。フィクションか」
と書かれてしまった。
ブログに感想を書いてくれた、同じ高次機能障害の人とは、戦友になったが。
「朝丘さん、インタビューを受けませんか?」
編集者さんからそういった提案があったが、ていねいにお断りした。
ネット上で障がい者であることで中傷を受けたことが、心の傷になっていたのである。
『無敵のハンディキャップ』という本に勇気づけられ、高次脳機能障害の本もたくさん出るようになり、高次脳機能障害が珍しくなくなった現在なら叩かれないと思い、出版から十五年経ち、ようやく自分が高次脳機能障害で、現在は就労継続支援B型事業所で、このコラムを書く仕事をしていることをカミングアウトしたのだった。
百冊著者献本があったので、近所の人たちには、本をさしあげた。
それまでいい年した中年男が昼間から犬の散歩をしていて不審に思われていたが、本を読んだ人たちは僕が交通事故に遭ったことや事故で障がいを負ったことをはじめて知り、通りで見かけたら、みなさん、温かな声をかけてくださるようになった。
〈得体のしれない醜男〉から、〈すこしは考えているハンサムボーイ〉にランクアップしたのだ。
意外な方も読んでくださった。ラジオのパーソナリティーをされている人。僕と同じ高次脳機能障害の人。点字図書を制作している人。朗読図書を制作している人。新聞記者をされている人。
ちなみに有隣堂書店本店の部長さんが書いてくださったブクログ大賞『オレンジ病棟』推薦コメントは、以下のようだった。
「生死の境を彷徨った挙句の後遺症。つらい交通事故体験だが、主人公はハゲ克服という〈おかしな目標〉に取り組む。そこに〈生の実感〉を見出す。悲惨な話を斜めに茶化して読者を笑わせるだけでなく。元気にもしてくれるからとても切ない」
さすが、本のスペシャリティー。思わず唸ってしまう感想だ。
その他、現在は検索しても出てこなくなったが、当時ネットにあった感想で笑ったものは、
「主人公の男が、交通事故の後遺症で負った障がい(深刻!!)よりも、おのれのゲーハー問題を気にしているところが驚きというか」
それにしても、ネットの世界というのは不透明なものだ。
何十もあった『オレンジ病棟』の感想も、人々が検索しても目に届かないところへ葬られてしまっている。
そのくせ、現実に実力もない者がWikipediaなどで出てくる。
面の皮が厚いというか。Wikipediaを書いている人から教えてもらったが、あれは、お金さえ払えば誰でも掲載できるとのことだ。
ちゃんと世に出て然るべき人物が掲載されている信憑性がない。
話を戻すが、出版社に手紙を送ってくださり、仲良くなった読者もいた。
返事は必ず書いている。
僕の読者は高齢者が多かった。闘病中に知り合った人、精神を病む人、障がいのある人。
一度、若者向けの表紙で『アミューズメント・ホスピタル』という本を出したが、内容は四十代以上の大人向けなので、評判はさんざんだった。
中年・高齢者が読んでくれれば、と思うもライトノベルのような若者向けのパッケージだったため、手に取ってもらえなかったのだった。
四十代以上の年齢層にしかわからない「あしたのジョーねた」や昭和のギャグのため、二十代の読者が読んでもわけがわからないのだった。
『オレンジ病棟』の読者も、六人部屋の入院病室仲間や、年老いた方がいらしたため、毎年喪中はがきが届き、心淋しくなった。
入院患者は、入院中、患者同士お見舞いがあると、お見舞いの品をお福分けしたりした。
そのことをきっかけに仲良くなり、同病相哀れむうちに、友情が芽生え、戦友に。
「あなたの本、面白いよ」「また本を出さなくちゃね」「次回作も必ず買います」
そうおっしゃっていた方々は、みな天国へ行ってしまった。
あの世へ去った人たちに続きを読んでもらいたい。
亡くなってしまった読者の中には、僕の恩師であるベストセラー作家の津原泰水さんもいた。
僕を見て、朝丘さんのような顔になりたいなぁ、とおっしゃってくれた。
もちろん、津原先生のほうがはるかにイケメンであったが、『オレンジ病棟』から僕が容姿にコンプレックスを持っていることを見抜いた津原先生は、僕を励ます意味で温かな言葉をかけてくださったのだ。
サイン会のときも、彼は作家です、と商業出版の編集者さんたちに僕を紹介してくださった。
話は戻るが、熱心に応援してくださった読者の三分の一くらいは、この世にもういない。
だが、彼らの言葉は、僕の心の中で生きている。たとえ電話で聞いた些細な感想でもスルーせず、その場でメモしておいてよかった。いまになると、それらが僕を勇気づける財産となっている。
両親や叔母、入院仲間の戦友たち、そして津原さんが生きていたらなぁ、といまでも思う。
それでも、こんな僕にも大切に想ってくださる読者は存在して、わざわざ出版社に手紙を出してくださった方々もいる。SNSで感想を書いてくださる方も。その「奇跡」に感謝して書いていこうと思う。
ところで話はずれるが、作品を発表せず(水面下では次回作を書いています)に、ブログ記事だけ出している僕にとって、さしあたり読者はこのブログやX(旧Twitter)を読んでくださっている人たちだ。
〈いいね!〉の反応を見ると、平日の昼間見ている人が多いことに気づかされる。
いまはスマホを使って、このブログを見ている人が圧倒的に多いのではないだろうか。
このブログを見ているであろう人。
・夫や妻子を送りだし、家事を終えた主婦(主夫)が見ている。
・病気やリストラで休職中のおじさんが見ている。
・会社にいるビジネスマンが仕事の合間にこっそりトイレの中で見ている。
・漁業を終えた漁師がベイエリアでマグロ丼を食べながら見ている。
・寺の本堂で小坊主がお経のテープを流しながら見ている。
・若い衆が〈おやっさん〉を待ちながら路地に停めた黒ベンツの前で見ている。
・金持ちのひきこもりが家でフランス料理を食べながら見ている。
ひとつ言えること。それは、〈その日の気分でテキトーに見ている〉ということだろう。
いつか気が向いたら、僕の本も是非!
©2024 Daisuke Asaoka
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