出版放浪記⑨ 書店まわり
四年かけて書いた本が完成した。発売日はクリスマスだった。
TRC(図書館流通センター)から300冊の注文があり、さらにあとから50冊の追加注文があった。
『オレンジ病棟』は図書館向きの本と判断されたようだった。
本の見本と手紙、注文書を持って、書店さんをまわった。挨拶まわりだ。
策士である担当編集者さんのアイデアだった。
いまも手もとに当時まわった書店さんのリストと一店ごとの感想があるが、一日で十数店まわったようだ。
電車を乗り継いでの営業である。ふだん行くことのない渋谷、新宿、日本橋といった都心を、新人の演歌歌手のようにまわった。
一冊だけ棚ざししているところ。人気作家さんの隣に平積みされてあるところ。扱いは様ざまだ。
――年末で相手は忙しいのだ。ぱぱっと話し、ぱぱっと帰らねばならない。
そうした想いが強すぎたせいか、最初は先走りすぎて会話が空回りしていた。
だが、某書店さんの文芸書担当の方とお話させていただいたとき、ひょんなことから流れが変わった。
「どうもお忙しい中すみません。今週こういう本を上梓した朝倉っていう者なのですが」
「え? 朝倉さんていうのですか? 私も朝倉っていうんですよ」
「……すみません。朝丘でした」
――ばかー!! 自分の苗字間違ってどうする!
こうした大ボケが糸口となり、この担当者さんとは会話が弾み、たくさん元気をいただいた。
おかげで緊張が解けて心にゆとりができたせいか、その後まわった書店さんでは、いい感じで話せるようになった。
こうして話をさせていただいた書店さんで見本を渡し、本を平積みしていただけたのだが、そのうちにPOPを書いて持っていこうということになった。
切れ者である担当編集者さんのアイデアだった。
だが、いざ書くとなると、どんなふうに書いたらいいのかが分からない。ふだん目にするPOPだが、それほど注視しているわけではなかった。
そこで連日書店さんを何軒もまわり、POPのデザインやどんなことが書いてあるのかを携帯のカメラにおさめ、研究した。
どのような紙やマーカーを使えばよいのか文具店屋の店員さんに相談し、いろいろと教えていただいたりもした。
その結果、ディスプレイされても後ろの本の妨げにならない、はがきサイズの厚紙と、四種類のマーカーを使うことにした。
携帯におさめたサンプルを見比べてみたものの、字体や文字のサイズ、色づかい、イラストやシールの有無など、POPのスタイルは種々様々だった。
なかには、コメント欄に文芸書担当の方が書きこめるようにできている、イラストつきPOPもある。
おそらくは出版社が提供したものなのだろう。スタイルはどうであれ、POPの文句はどれも文芸書担当の方が書いたものだけに、切れのよいものだった。
僕は頭を悩ませた。
まさか書店店員さんが書いたように、自分で「こりゃすばらしい!」などと書くのも、きまりが悪いのでできない。
何をどう書いたらいいのかわからなかった。
そこで担当編集者さんにメールで相談した。
いただいたメールは以下のようなものだった。
「朝丘さんが『オレンジ病棟』のなかで好きなところを書いてみてはどうでしょう」
――なるほど。それなら僕にも書けるかも。
結局、あれこれと試行錯誤を重ねた末、以下のような文章に落ちついた。
……ボツにしたやつとはいえ、おそろしくむさくるしい字だ。
うまく書けたやつを撮っておけばよかった。
さて、書くことが決まり、机上での格闘が始まった。
集中力の障がいがある僕は、心を注いでも集中力がキープできず、〝あと一行〟というところで返す返す書き損じた。
ペンのタイプによってサジ加減が異なるので、厄介だった。
字が下手なのは仕方がない。
拡大印刷した文章を手本にし、しこしこと書いた。
結局、一週間かけて百枚以上書き、うまく書けたのは十枚弱。
岡山の友人から、平積みにされている書店があるよ、と連絡がはいり、まずそこの文芸書担当者さん宛てに、できあがったPOPと手紙を郵送した。
自分で行かれる書店さんには、ダイレクトに自分で持っていった。
持っていった三件の書店店員さんは、みな親切だった。
現在は閉店した地元の天一書店さんでは、店員さんがPOPに、
「〇〇区××町に在住の著者さんの直筆です」
と、キュートな字で書き添えてくださった。
サインを求められたことがある。
僕のような下っ端がサインだなんて、勘違いもはなはだしいのだが、みなさんお優しいので、僕を喜ばすつもりでわざとサインをせがむわけだ。
断ると場がシラけるし、 何より相手の好意を無にすることになるので、申し訳ないとおもいつつも、本の隅っこに、ちっちゃ~くペンで自分の名前をいれた。
相手はそれを見て、
「小学生が、自分の教科書をなくさないように書いたみたいですね」
と言って、笑った。
それはさておき、こうして何店もの書店さんをまわらせていただいたのだが、いちばん嬉しかったのは、本が発売されてから一年後、いまは閉店した紀伊国屋書店渋谷店に足を運んでみたら、僕の本が、ファンである故中島らもさんの本の数冊隣にささっていたことだ。
僕は大の中島らもフリークで、らもさんの清濁併せ吞む器や読みやすい文体に憧れていた。
らもさんの訃報を聞いた夜、僕はらもさんのためにウイスキーをミニボトルで一本空けた。
車に轢かれて自分が意識不明だったときも、
「らもさんが死んで悲しい、とうわごとを呟いている」
と開示した入院カルテに書いてあった。
横浜の病院に入院していたときは、骨折していないほうの一足だけでぴょんぴょん跳ね、寝間着のまま、病院から百メートル離れた古本屋へ、らもさんの小説『ガダラの豚』を買いにいった。
生前、1200万部もの本を売った怪物らもさん。
そのらもさんの本の数冊隣に、僕の本がささっている。
大リーグのベンチに招待されたアマチュアの野球少年が、同じベンチで〝世界のイチロー〟に遭遇してしまったような、とてつもない興奮と衝撃を受けた。
©2024 Daisuke Asaoka
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