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#20:四角い世界【朝丘 大介】
『 元祖天才バカボン 』 に こんなエピソードがあった。
柱の角 (かど) に あたまをぶつけたバカボンのパパが目を覚ますと、
目に映るものすべてが 四角くなっている。
照りつける太陽。 デパートの屋上にのぼるアドバルーン。 着物の絵柄。
野球のボール。 何から何までが 四角い。
帰宅すれば、 ちゃぶだいの上のものすべてが 四角形である。
四角いご飯。 四角い梅干し。卵も四角く、割ると中から
四角い黄身が 顔を見せる。 もちろん、 デザートのりんごも四角い。
とにかく○が存在しない世界なので、 子どもたちはバカボンのパパを
パパ ( papa ) ではなく ババ ( baba ) と呼ぶ。
結局、 バカボンのパパの夢オチなのだが、 よくよく考えてみれば、
我われが世を送るこの世界は じつにバラエティに富んだ形の組み合わせ
により形成されている。
だが、 四角形のもので自然から生まれたものを想起しようとしても、
ちょっと思い浮かばない。
部屋の天井、 壁、 窓枠、 テレビ、 洗濯機、 本、 スマホ.etc.
おおよその四角形は、 人為的に創出されたものではないだろうか。
生き物をとってみても、 基本的に身体のフォルムは とがっていたり、
丸みを帯びていたり。
さまざまな形で生成されてはいるが、 四角ではない。
人間の身体もそうだ。 目。 鼻。 口。 胴体。 手。 足。 各パーツは
いづれも とがっていたり、 丸みを帯びていたり、 あるいはそれ以外の形で
あったり。
ごくまれに 四角い顔の人もいるが。

朝丘先生
今回はミニコラムです。
©2023 Daisuke Asaoka