#15:プロレスラーに花束を【朝丘 大介】

 

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プロレスラーに花束を   朝丘大介

『ビヨンド ・ ザ ・ マット』という映画がある。 アメリカ最大のプロレス団体WWEの裏側をばらしたドキュメンタリーだ。

 

 

社長により、 プロレスラーがリングで演じあげる役を与えられるところ。試合前の、

 

 

 

対戦者同士の申し合わせ。実況解説者が何をしゃべるか。どの場面で、だれをアップで撮るか。

 

 

 

相手をぶちのめしたプロレスラーがどんなマイクパフォーマンスをするか。

 

 

そういった打ち合わせの様子が あからさまに映し出される。

 

脚本があっても、 痛いものは痛い。

 

 

リングの上に設けられた高さ六メートルくらいの金網から、背中から転落しなければならない場面なども、

 

 

プロレスラーはきっちりとこなさなければならない。

 

 

プロレスラーは、相手の技をきちんと受けるいほうが同業者から尊敬される。

 

 

プロレスは、相手の技に耐えている姿が観ている者のシンパシーを呼び、

 

 

 

ボロボロになるからこそ、勝ったときにカタルシスが得られる。

 

 

 

だから、相手の技を受けないレスラーは、ファンの共感は得られない。

 

 

技を受けてきたダメージが肉体に蓄積されて、選手生命を縮めてしまうことになるのだが。

 

 

 

痛みも流血も本物であるがゆえに、下半身不随になってしまったり、場合によっては死ぬことだってある。

 

 

 

そこまでしなければ、 ファンはついてこない。

 

 

 

プロレスがエンターテイメントであることがおおっぴらとなった今日 (こんにち) 、

 

 

プロレスなんて八百長じゃん、などと無粋なことをいう人間はもはやどこにもいないだろう。

 

 

 

格闘技の世界では、 スポットは勝者にしかあたらない。

 

 

 

敗者はあっという間に 過去の人となってしまうのである。

 

 

 

プロレスは勝ったり負けたり。転落から〝人生のやり直し〟を見せてくれる。

 

 

あたたかいのだ。

 

 

 

意外と知られてないが、プロレスラーは早死にする人が多い。そして、永眠したプロレスラーたちは、

 

 

子どものころテレビで見た『 ウルトラマン 』 のお気に入り怪獣のように、いつまでもファンの心のなかに残るのだ。

 

 

 

朝丘先生
朝丘先生
アントニオ猪木がいなくなった現在、アメリカのショーマンプロレスが主流になり、
猪木氏がいたころのストロングスタイルを体現できるレスラーが減り、残念です。

©2023 Daisuke Asaoka

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