#17:世界的ヒットの難しさ【朝丘 大介】
世界的バンドa-haと日本で一世を風靡したバンドTM Network 。
どちらも80年代の人気トリオだが、これらのバンドには共通点がある。
a-haのメンバーふたりはブリッジス、TMはスピードウェイという前身バンドをそれぞれやっていた。
ふたつの前身バンドは、よそのバンドにいるモートン・ハルケット、
小室哲哉という才能あるメンバーを引きぬき、三人組に。
長い下積みのあとは、大ヒットの連発。
それぞれの代表曲、『Take On Me』『Get Wild』はイントロがとてもキャッチーで個性的だ。
ヴォーカルも唯一無二の個性的がある。
どちらもすごいバンドだが、世界的バンドと日本だけのトップバンドの差を
つけた決定的な差は、活動拠点を英語圏に置いたかどうかだと僕は思う。
TMがブレークしたとき、紅白で「来年は世界へ進出する」と宣言したが実現しなかった。
英語の壁が立ちはだかっていたのかもしれない。英語で歌わない民族は井の中の蛙なのだろうか。
そうかといって、日本という島国でのヒットにとどまるのは寂しい。
由紀さおりさんは米、カナダのヒットチャートで1位を記録している。
古い時代の曲なので、どういった経緯でヒットしたのか僕は知らないが、
日本語で歌った曲だ。
英語圏で売れるには英語で歌ったほうが、欧米人にはわかりやすいが、
カタコトの英語なら、いっそのこと、日本語のまま海外に輸出したらどうだろう。
アニメ映画『ドラゴンボール』が北米で動員1位を記録し、海外のアニメフェスティバルでは
ドラゴンボールの主題歌を外国人が日本語のまま歌っているという現象が起きた。
アニメの主題歌として、彼らの心に届いたタイアップの成果だ。
映画の主題歌であるとか、ある種の条件がそろえば、日本語のまま輸出しても、
海外ヒットを狙えるかもしれない。
9月から上映される、TMが音楽を担当する劇場版『CITY HUNTER』が海外に
輸出されることに『Get Wild』のヒットを期待しよう。
