
この決定は、DHLカナダと労働組合Uniforとの労使交渉が決裂したことに端を発し、加えて2025年6月に施行されたカナダ国内の新法(Bill C-58)によって、DHLが通常用いる代替輸送手段を採れなくなったという複合的な要因により発生しています。
◆ 発送停止のスケジュール
- 6月18日(水)以降:日本からカナダ宛て荷物の集荷停止
- 6月20日(金)0:00(現地時間)以降:カナダにおけるDHL Expressサービス全面停止
DHL Global ForwardingやDHL Supply Chainなど他部門のサービスには影響がありませんが、DHL Expressを利用する事業者への影響は極めて大きいと言えます。
◆ 背景にあるのは「労働争議」と「新法案」
DHLとカナダの労働組合Uniforとの間では、約1年間にわたる労働条件交渉が続いていましたが進展がなく、ストライキに発展。
さらに、2025年に成立したBill C-58という法律によって、企業がストライキ発生時に「外注」「代替ドライバー」などを用いることが禁止され、DHLは対応策を講じられないまま停止に追い込まれた状況です。
◆ eBayやAmazon販売者への影響は?
このような国際配送の停止は、越境ECを行う日本の事業者にとって深刻な影響を与えます。特にカナダはアメリカと並ぶ主要な販売国の一つです。
以下の対応が推奨されます:
- 一時的にカナダ宛ての発送を停止・注意喚起を記載
- eBay・Amazonの商品ページに発送不可の旨を明記
- FedExやUPS、EMSなど代替手段の確認と切替
- バイヤーへの英文案内の準備
- eBayキャンセルによる評価・ペナルティに注意
◆ 他社配送は使えるのか?
現在、FedEx・UPS・EMS(日本郵便)などは通常通り配送可能とされています。EMSは軽量物に強いため代替手段として現実的です。
ただし、配送集中や通関混雑により通常よりも納期が遅れる可能性があるため、バイヤーへの納期説明も重要です。
◆ 再開見込みは?
DHLは「できるだけ早期の再開を目指す」としていますが、現時点で再開時期は未定です。労使交渉の進展と法的規制の調整が必要なため、数週間~数ヶ月かかる可能性も否定できません。
◆ まとめ:物流リスクの分散が鍵
今回のDHLカナダ発送停止は、物流インフラの不安定さが国際事業に与えるリスクを浮き彫りにする事例です。
今後の対応ポイント:
- 代替配送手段の確保と準備
- バイヤーへの案内と誠実な対応
- DHLからの最新情報を継続的にチェック
eコマース事業者にとって、物流は生命線です。今後は1社依存ではなく、複数の配送手段・ルートを持つことが生き残りの鍵になるでしょう。