#115:グループホームの日々 後編【朝丘大介】
そのころ、私は恋をしていた。
郵便局の窓口に立つ女性だった。
荷物を出しに行くたびに、明るく声をかけてくれた。
ある日、別れぎわに手紙を渡した。
翌日、電話があった。
「ありがとうございます。でも、私、結婚しているんです」
やわらかな声だった。
彼女は「これからも郵便局に来てくださいね」と言ってくれた。
失恋はしたが、不思議と絶望はしなかった。
七時に起き、十時に眠る生活のなかで、私はちゃんと人を好きになる力を取り戻していた。
それからも私は窓口に通い、彼女と笑顔で雑談した。
なじめない人もいた。
毎日警察へ通い、自殺をほのめかす男。妄想の人物と一晩中言い争う男。
ここは和を求める場所だから、なじめない者は去ることになる。精神病棟へ戻った人もいる。
クリスマス、実家で一人きりになる今のほうが、よほど寂しい。
あの頃は、全員が彼女なしでそれぞれの部屋にこもっていたのに、不思議と孤独ではなかった。
同じ境遇の人間が同じ屋根の下にいる。それだけで、孤独はすこし薄まる。
グループホームで教わったことは単純だ。
七時に起き、十時に眠る。三食きちんと食べる。
実家からデイケアに通っていた頃、私は焦っていた。
「なぜこんなことを」と思い、やめたこともある。
だが、ホームから通ううちに、続けることそのものが力になるのだとわかった。
グループホームには、働いていない者もいた。
変われない人を責めることはできない。
働けなくても、恥ではない。それぞれに事情があり、それぞれに幸せがあるのだ。
横一列だった私たちは、それぞれ違う速さで歩いていた。
私は散歩を続けた。体を作ろうと思った。生活習慣を崩さないように努めた。
現在、私はライティングの仕事をしている。
今も七時に起き、十時に眠る。あの単調な日々は、今も私の中で流れ続けている。
雪解け前の川のように。
©2026 Daisuke Asaoka
この記事は朝丘大介が書きました。
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根本 圭悟
帝王学ビジネスデザインで
自分もクライアントも幸せの歯車を加速
CT Rain LLC 代表/独立8年目
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自信があるので複数商標を取得して運用
それでもまだ、より大きな成果を得るために日々研究
✧7年で約6億4千万売上
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