出版放浪記⑫ 二十年前の作品の復元【朝丘大介】
部屋の整理をしていたときのことだ。
二十年前に重宝していたワープロが、押入れの奥から出てきた。
電源を入れると、「バックアップ電池を交換すれば使用可能」と表示される。
ワープロの側面には、 3.5インチのフロッピーディスクが差し込まれていた。
そこに貼られていたラベルを見て、思わず息をのんだ。
『山の手おじさん』
二十代のころに書いた短編小説のタイトルだった。
当時、ぼくは三本の小説を書いた。
二本は長編、一本はこの短編である。
長編のひとつは印刷して残っており、もうひとつも手書きの原稿が一部
残っている。
だが短編は、「いつでも印刷できる」と思い、データのままにしていた。
その唯一のデータが、このフロッピーだった。
ところが、いくら操作してもエラーが表示され、内容は読みだせない。
別の旧式ワープロでも試したが、結果は同じだった。
二十年前の作品は、失われてしまったのか。
ぼくは頭を抱えた。
というのも、この短編に特別な思い入れがあったからだ。
当時、応募した出版社の編集者から電話があり、
「とても気に入りました」と言われた上で、
「七万円ご負担いただければ、短編集に収録できます」と持ちかけられた。
結局、その話には応じなかった。
だが、それだけに「いつか世に出したい作品」として心に残り続けていた。
その小説が消えてしまった――そう思った矢先だった。
ワープロに付属していた印刷カートリッジをふと見ると、
印字用のテープに、文字がくっきり残っている。
そこには短編小説『山の手おじさん』が、ほぼ全文そのまま記録されていた。

僕はテープを少しずつ鉛筆で巻きとりながら、
パソコンのワードに一文字ずつ写していった。
四百字詰め原稿用紙で、十二枚分の分量だった。
こうして二十年の時を経て、
幻の短編小説は、なんとか復元されたのである。
この作品はその後、2015年に故・津原泰水さんの小説講座で肉づけされ、
二十枚の作品に仕上がった。
津原先生からは
「切なさとユーモア、客観性が加味された、なんとも豊潤な作品」
と評していただいた。
二十年前に失われた物語は、
いまも発表の時を静かに待っている。
©2026 Daisuke Asaoka
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根本 圭悟
帝王学ビジネスデザインで
自分もクライアントも幸せの歯車を加速
CT Rain LLC 代表/独立8年目
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自信があるので複数商標を取得して運用
それでもまだ、より大きな成果を得るために日々研究
✧7年で約6億4千万売上
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