#105:出版放浪記⑫ 二十年前の作品の復元【朝丘大介】

出版放浪記⑫ 二十年前の作品の復元【朝丘大介】

 

 

部屋の整理をしていたときのことだ。

 

二十年前に重宝していたワープロが、押入れの奥から出てきた。

 

電源を入れると、「バックアップ電池を交換すれば使用可能」と表示される。

 

ワープロの側面には、 3.5インチのフロッピーディスクが差し込まれていた。

 

そこに貼られていたラベルを見て、思わず息をのんだ。

 

『山の手おじさん』

 

二十代のころに書いた短編小説のタイトルだった。

 

当時、ぼくは三本の小説を書いた。

 

二本は長編、一本はこの短編である。

 

長編のひとつは印刷して残っており、もうひとつも手書きの原稿が一部

残っている。

 

だが短編は、「いつでも印刷できる」と思い、データのままにしていた。

 

その唯一のデータが、このフロッピーだった。

 

ところが、いくら操作してもエラーが表示され、内容は読みだせない。

 

別の旧式ワープロでも試したが、結果は同じだった。

 

二十年前の作品は、失われてしまったのか。

ぼくは頭を抱えた。

というのも、この短編に特別な思い入れがあったからだ。

 

当時、応募した出版社の編集者から電話があり、

「とても気に入りました」と言われた上で、

「七万円ご負担いただければ、短編集に収録できます」と持ちかけられた。

 

結局、その話には応じなかった。

 

だが、それだけに「いつか世に出したい作品」として心に残り続けていた。

 

その小説が消えてしまった――そう思った矢先だった。

 

ワープロに付属していた印刷カートリッジをふと見ると、

印字用のテープに、文字がくっきり残っている。

 

そこには短編小説『山の手おじさん』が、ほぼ全文そのまま記録されていた。

 

僕はテープを少しずつ鉛筆で巻きとりながら、

パソコンのワードに一文字ずつ写していった。

 

四百字詰め原稿用紙で、十二枚分の分量だった。

 

 

こうして二十年の時を経て、

幻の短編小説は、なんとか復元されたのである。

 

この作品はその後、2015年に故・津原泰水さんの小説講座で肉づけされ、

二十枚の作品に仕上がった。

 

津原先生からは

「切なさとユーモア、客観性が加味された、なんとも豊潤な作品」

と評していただいた。

 

二十年前に失われた物語は、

いまも発表の時を静かに待っている。

 

©2026 Daisuke Asaoka

 

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根本 圭悟
帝王学ビジネスデザインで
自分もクライアントも幸せの歯車を加速
CT Rain LLC 代表/独立8年目

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自信があるので複数商標を取得して運用
それでもまだ、より大きな成果を得るために日々研究

✧7年で約6億4千万売上
✧メディア掲載経験あり
✧どうしようもなかったバンドマンが、覚悟を決めて
家族(妻、子供、犬、うさぎ)を守った物語を期間限定でウェビナー配信中
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